社長コラム
2017年04月17日 10:13
「マレーシアでの教育のメリットと注意点は?」「何時からインター校へ入れるべきか?」
今年3月末に5人の子供の2番目(長女)が日本の大学を卒業しました。彼女はマレーシアで生まれ、マレーシアで高校まで勉強し、日本の大学の経営学部に帰国子女枠で入学しました。4月から日本の商社へ入社しました。
卒業を機会に彼女にマレーシアと日本で学んだ学校体験を基に、「マレーシアと日本の社会の違い」「マレーシアで学んで良かった点と注意点」「インター校へ入るタイミング等」色々と聞いて見ました。
特に彼女はマレーシアで勉強した事により日本語以外に、英語と中国語を身に付ける事が出来ました。皆様の参考になるか思い、このコラムに投稿する事にしました。
まず彼女が辿った学校履歴からお知らせします。
1)5歳でペナンのインター校に入学(直ぐに英語は上手になりました!)
2)7歳の時にペナン日本人学校に転校。中学2年まで日本人学校在籍
* インター校に2年程通い日本語が弱くなり、態度や価値観が欧米的になり過ぎと感 じ、日本に馴染めない子供なると思い親の判断で転校を決意。
* 慣れたインター校から誰も知らない日本人学校に転校で、最初の1ヶ月程度は大変でしたが数ヶ月で友達も出来安定しました。態度や価値観も直ぐに日本的
* ペナン日本人学校は小学1年から中学3年の全校生徒が150名程と小規模校で
3)中学3年生からHang Chang High School(韓江高校)と言う現地私立高校に入学。
* やはり1年以内で中国語の会話は困らない程度に上達
* タイやインドネシア、韓国からの留学生も多くいました
* 日本人学校で8年学び、15歳と言う年齢の為、日本人学校と現地校の違い、
4)高校3年で中国、台湾、欧米へ留学する人も受ける共通試験(UEC)を受験
* 大学進学は中国や欧米も可能でしたが、日本の大学帰国子女コースを選択
* 日本の大学進学の準備は進研ゼミをマレーシアで受講し準備
* 帰国子女はセンター試験免除で、英語、小論文、面接で選別され、英語が得意
* 高校3年時点で、日本語が第一言語、英語はネイテイブレベル(TOEIC 980
点)、中国語も中国や台湾の大学へ進学出来るレベルになりました
5)日本の大学(経営学部)卒業し、日本の商社に就職
* 4年間バイトをしながら日本の社会の現実も見ながら卒業
* 日本の良い点、欠点もはっきり理解できる様になり、「海外と日本の架け橋に
なりたい、日本の良いものを海外に発信していき、逆に海外の良さも日本に
伝えていきたい。特にグローバル化をしないといけなくなった今の日本社会
のために仲介役を担いたい」と張り切っています。
* 彼女は日本の商社を選択しましたが、親としても彼女の語学力や国際性が役
に立つ適切な職場選択と思いました。
次にマレーシアの学校で学び良かった点、注意点に関する彼女の意見は以下の通りです
まず良かった点は、
1)第一にいろんな言語を習得出来た点です。英語、中国語、マレー語を当たり前に日常生活で耳にするので、色々な言葉を習得するのに抵抗はありませんでした
2)特に中国語、英語をマレーシアで習得できたことが日本での就活に非常に有利でした。海外旅行に行く際大体どこへ行っても言葉がほぼ通じるのでとても楽です。
3)小さい頃から色んな国籍の人と知り合う機会が多数あり、早くからグローバル的な考え方を身につける事ができました。自分の性格形成にも役に立ちました。
次に注意点は、
1) 日本に住み始めた当初、日本では普通にする事が、マレーシアではしないので、それが分からなかった。日本人が普通しない事、する事を何も知らずにやってしまったり、逆にやらなかったりしてしまっているのではないか、という不安はありました。
2) 勉強面では、現地の高校では勉強内容が緩かった分、最初は辛かったし、就活中の試験でもやったこと無い内容もありました。
これからマレーシアでの教育を考える人達へのアドバイスとしては、
「ある程度日本語を習ってからインターに入るべきと強く思います。私は中学生2年生まで日本人学校に通ったのが丁度良かったと思います。それは、勉強面でも、語学面でも、振る舞い性格成形の面でも言えると思います」
以上は娘の意見ですが、親としても娘がマレーシアでの生活や教育をしっかり受け止めて、無事に日本の大学を卒業してくれた事は本当に嬉しく思っています。
私はマレーシアに来てから事業面で大変な時も多く、日本人学校の後、立派なインターナショナルスクールに入れる事は出来ず、普通の現地高に入学させましたが、結果的には柔軟で逞しい子供に育ってくれた気がします。「可愛い子には旅をさせろ」と良く言いますが、娘の場合結果的にその様になっていたのかも知れません。
その様な経験をした事もあり、「子供の教育にはお金さえ掛ければ大丈夫」と言う様な最近の風潮には大変抵抗があり、疑問を感じます。
それと言葉の習得にはやはり環境が大切で、常に英語、中国語、マレー語等の多言語が聞こえてくるマレーシアは言語習得には大変適してます。我々自身がどうして日本語を覚えたか考えれば判る様に、「言葉は頭に詰め込むより、耳と毎日の生活で自然に覚える」ものと思います。
早く子供をインター校に入れないと英語を覚えないのでは無いかと心配するご両親は多いと思いますが、子供の語学吸収能力は大人と比較にならない程早いので、子供には2ヵ国語、3ヵ国語は入ると考えて良いと思います。これは私の子供達でも証明されていますし、皆2~3ヶ国語を操るマレーシア人を見ても同じ事が言えます。
子供の学校を何度も変える中でつくづく感じた点は、「学校とは単に勉強や言葉を教える場所だけでなく、子供の価値観、態度、性格形成、将来まで大きく影響する場所」であると言う事実です。
私ども会社としても多くのマレーシア留学をサポートしておりますが、インター校へ入れるタイミングは子供の将来を良く考えてから決めるべきと常々考えています。
もし将来日本へ帰る積もりで育てるとか、日本人としての基礎を持ちながら海外で活躍できる人材にしたいと言う事であれば、幼少期特に小学生位までは日本の学校又はマレーシアの日本人学校を検討すべきと思います。
勿論将来日本へ帰る事は一切考えず、兎に角子供を海外に送り出したいと言う家庭であれば、早い内からインター校が良いと思います。(ただしそういう判断をした場合は、子供はまず間違い無く日本語が弱くなると思いますが。。)
逆に早くインター校に入れた場合のデメリット(日本語が弱くなる、態度や価値観が日本人的でなくなる点)も良く考えるべきと思います。
今、世界中から日本人の規律、協調性や向上心の高さが注目され、日本から学ぼうとしている国が増えています。せっかく日本人として生まれたのであれば、その素晴らしい国民性を失うこと無く、国際的に活躍出来る子供に育てた方が子供に取りメリットは多いと私は信じます。
トヨタやホンダの強みは常に日本本体(良さ)を大切にしながら海外展開をしているからだと思います。もしトヨタやホンダが日本を完全にたたみ、海外だけの企業になったとしたら、今の様に強い企業でいられたでしょうか?個人も同じで日本人の良さを保ちながら、外国語を習得し国際感覚を身に付ける事が出来て、世界で通用する、尊敬される日本人になれると思います。